義父の逝去

2018.09.15 Saturday 19:19
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    きょうのお昼前、妻の父が亡くなりました。享年90歳。大往生と言っても良いでしょう。


    長い間、市内小町坂の下に「建松」(たてまつ)という仕出し屋をやっていて、とても腕の良い料理人であると同時に、唄好き、酒好き、遊び好きの明るい親父さんでした。常にユーモアを欠かさず、人を笑わせるのがじつに上手い人。何代も続く家系の四男として生まれたにもかかわらず、兄が相次いで戦死し、やむなく家業を継がざるをえなかったとのこと。


    昔は、店の前にバス停があって、バス待ちをする人が、ご飯だけ自分で持ち込み、一品料理や酒だけ頼んで、美味しそうに飲んだり食べたりしていたのを、妻は覚えているそうです。「建松」は、そんな「茶屋」でもありました。


    お祭りにもなると、仕出し屋は秒単位の忙しさ。そして冬が近づけば、冷たい水を使い、一日中立ちっぱなしで、何十本もの塩引き鮭づくりをこなし、料理人として、全力で駆け抜けたような人生だったのではと思います。


    でも、ぼくには、いつも満面の笑みをたたえた、お父さんのひょうきんな顔しか浮かびません。最後は、認知症が悪化し、自分の娘の顔さえわからない状態のまま、胆管ガンを患い、ろうそくの火が自然と消えるように、穏やかにあの世へ旅立ったようで、生命のはかなさを感じるとともに、不思議に荘厳な気持ちにさせられました・・・。


    写真は、「芳子さん、芳子さん」と慈しんでいたお母さんと、そして娘であるぼくの妻と、デュエットする数十年前のお父さんです。(*^_^*)

     

     

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    小さな美のポケット 第28話「心を捉えた一冊」

    2018.09.09 Sunday 16:20
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      村上新聞連載「小さな美のポケット」第28話です。
      今回のテーマは、「心を捉えた一冊」。


      小学校5年生の時に読んだ「平家物語」は、ぼくが読書好きになった原点と言える本。何度も何度も読みました。長野掌一さんによる訳文が、小学生にもわかりやすく感動を与えてくれます。


      その後、「源九郎義経」がぼくの中で、アイドル的な存在となりました。


      「九郎」と言われるからには、その上に8人兄がいたはずだ、と思い、いろいろ調べ、「義平」「朝長」「頼朝」「希義」「範頼」「全成」(今若)「義円」(乙若)まではわかったものの、最後の一人がどうしてもわからず、当時三之町にあった公民館の図書館でいろんな文献をあたり、ようやくもう一人の名前を見つけたとき、すごく嬉しかった思い出があります。


      こんなつまらないところにこだわるなんて、救いようがない馬鹿ですね。今度は「東八郎さん」の兄弟捜しでもしようかな。(^_-)-☆

       

      ***************** 記事全文 *****************

       

      第二十八話「心を捉えた一冊」

       

      「好きなことを仕事にできて、いいですねえ」と、よく言われます。たしかに「天職」とも言える漆の仕事は、たくさんの喜びや充実感を、ぼくにもたらしてくれます。けれど、根気を持続させ、気を張りつめて行う作業も多いため、やはり息抜きは必要です。


      その息抜きを与えてくれるひとつが「本」。ぼくは子どもの頃から、本を読むことがなにより好きでした。今でも、寝る前一時間の読書は、心が解放される貴重な時間です。一冊の本さえあれば、何時間でも退屈することはありません。


      それほどぼくが本好きになったきっかけは、小学校五年生だった年の冬、親に買ってもらった「平家物語」でした。少年少女向けに書かれた古典全集の中のこの一巻を、茶の間のこたつに入りながら、時の過ぎるのも忘れ、何度もむさぼるように読んだことを思い出します。


      平清盛の寵愛を受けた白拍子「妓王」(ぎおう)と「仏御前」(ほとけごぜん)の悲しい行く末、橋桁の上で源氏方の僧兵が大活躍する「宇治川合戦」、源義経の胸のすくような奇襲作戦「鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし」、戦場に一幅の絵を見るような「扇の的」、いたいけな安徳天皇の入水など、これほど悲喜こもごものドラマが多く挿入された物語は、ほかにないのではないでしょうか。


      たまたま翌年、NHKの大河ドラマで「源義経」があり、当時の尾上菊之助さん(現在、尾上菊五郎さん)演じる義経が、兄頼朝に追われ、北陸路をさまよううち、ひとりふたりと、かけがえのない家来を失っていく件(くだり)は、本で読んでいたからこそ、なおいっそう胸に迫り、とても涙なしでは見られませんでした。


      その後、ぼくはすっかりこの本の虜(とりこ)になり、原文でも読みましたが、文章のリズムがとても心地よく、琵琶法師がせつない琵琶の調べに乗せて語り伝えた文学であることがよくわかります。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」という有名な序文は、全文を覚え、何度諳(そら)んじたかわかりません。


      子どもの頃に出会う一冊の本は、やわらかな感受性に支えられ、伸びゆく自らの世界を、より広く、深いものにしてくれます。想像力を育み、言葉や文章に対する鋭敏な感覚を養ってくれる読書の楽しみは、漆の仕事とともに、天からぼくに与えられた、何よりの贈り物なのでした。

       

      URUSHI OHTAKIの新商品 カードケース(名刺入)

      2018.09.01 Saturday 20:14
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        以前、試作品を発表したところ、とても好評をいただいた「名刺入」。青の「羽根」に加えて、赤の「葉」も制作し、2種を「カードケース」(名刺入)として、HPの定番商品にアップしました。

        http://www.u-ohtaki.com/item-page/c-530.html


        現在はそれぞれの在庫が2つずつですが、在庫切れになっても、1ヶ月お待ちいただければ制作します。価格は税込みで 6,000円。ヒノキと漆のナチュラルな感触が楽しめる一品です。

         

         

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        秋のディスプレイ

        2018.08.31 Friday 19:15
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          村上市はこの時間(31日午後8時半)も、激しい雨に見舞われています。避難準備情報は解除になったけれど、大雨警報は出されたまま。ほんとうに今年の夏は、「猛暑」か「大雨」かの二者択一しか許されなかったようです。

           

          夏の疲れを少し身体に宿しながら、季節は「仲秋」へと移り変わります。鈴虫の澄んだ音色を愛でながら、しみじみと一献傾けるもよし。好きな本を開いて、外に向いていた心を、内に向けてみるのもいいかもしれません。

           

          シンプルな漆の器が、静かな季節の友となってくれたら・・・そんな思いで、秋のディスプレイをしました。

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          「雪椿」のブローチ

          2018.08.24 Friday 21:20
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            「裏に子どもの名前と誕生日を入れた、“雪椿”のブローチを2つ作ってください。」ある常連のお客様から、そんな依頼がありました。


            さて、どんなやり方で作ろうかな・・・といろいろと考えた末、形を自由に削ることができ、とても軽い「発砲アクリル」という素材を使うことにしました。のこぎり、カッター、彫刻刀、ヤスリなどで、花の形を造形し、下地を施して、漆を塗ります。


            色については、補色である朱と緑の取り合わせは、安易にやると下品になりがちなので、葉はかみさんのアドバイスに従い、黒にしました。花の芯と葉脈は線刻し、芯だけに金を摺り入れています。そして、裏には指定された子どもの名前と誕生日を。


            お客様のご希望にできるだけ答えられるのが、一品制作の手造りの良さですよね。(^_-)-☆

             

             

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