小さな美のポケット 第14話「祭好きの系譜」

2017.05.01 Monday 20:21
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    毎月第1日曜掲載(村上新聞)のはずなのですが、大型連休の関係で、5月7日は休刊らしく、5月分はきのう4月30日に、早々の掲載となりました。


    「小さな美のポケット」第14話。今回のタイトルは「祭好きの系譜」。


    父に断りも入れずにこの写真を使ったので、いきなり自分の若い時の姿が目に飛び込んできた父自身、一番びっくりしたようです。


    このところこの連載は、大滝家のプライバシー暴露路線に走っており、お見苦しい点、ひらにご容赦を・・・。<(_ _)>

     

    ************(原稿全文)***************

     

    第十四話「祭好きの系譜」


    どの町でも地元のお祭と言えば、一種独特の熱っぽさがあるのでしょうが、ここ村上でも、それは例外ではありません。


    村上市の村上地区には、七月七日「村上大祭」、九月四日「瀬波大祭」、十月十九日「岩船大祭」と、それぞれ数百年の伝統を誇るお祭があり、いずれも地元で「おしゃぎり」と呼ばれる、豪華な彫刻と漆で彩られた屋台が、子どもたちを乗せ、笛、太鼓、鉦などによるお囃子を奏でながら、何台も引き回されます。


    ぼくも子どもの頃から、自分の町内の屋台を引くのが、ほんとうに楽しみでした。わが家のアルバムに残されている一枚のモノクロ写真。そこには、屋台の側で父の腕に抱っこされながら、夏の日差しにちょっとまぶしそうに顔をしかめた幼い日の自分がいます。


    父は、ひとつひとつの屋台を見せながら、そこに施された堆朱堆黒の技や、「乗せもの」の特徴などを、事細かに教えてくれたものでした。祭の日が近づくにつれ、そわそわと落ち着かなくなる祖父を見るにつけても、祭に寄せる想いが、何世代にも渡り、自分にまで受け継がれてきていることに、子ども心にも、ある種の誇らしさのようなものが感じられたのです。


    祭には、人々を熱狂させる力と、日常を離れた特別な感覚世界があるように思います。それは、言葉ではなかなか表現できないもので、他地域の人に伝えるのは難しいことなのですが、たとえば、「手木(てぎ)」と呼ばれる、屋台の太いケヤキの引き手に触れるだけで高揚感を覚えるようなこと。あるいは、先太鼓の奏でるリズムや、みんなで声を合わせて歌う「引き回し唄」に陶酔したり、屋台に下げられた提灯の灯りが、暗闇にゆらゆらと揺れる様子。「見送り」という後ろにつけられた彫刻を右に左に揺らしながら、屋台が細い路地を曲がっていく姿を、うっとりと眺めたりすることなどは、誰から教えられたわけでもなく、この土地に生まれ育った者だけに受け継がれた、地域独特の「美意識」なのかもしれません。


    普段は何を考えているのかわからないようなうちの息子にも、この感覚は伝わっているらしく、祭の練習が始まると、毎晩いそいそと出かけていきます。普段希薄になった世代間の縦の交わりは、祭を介して、なんとか保たれているようです。

     

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