最近の読書から 〜帚木叢生〜「聖灰の暗号」上巻・下巻

2017.02.19 Sunday 13:42
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    読書の楽しみのひとつは、今まで自分がまったく知らなかった世界を、語り手がまるで目の前にいるみたいに、身近に親しく語ってくれることだろう。


    この本は、13世紀というはるか昔、舞台はフランスとスペインの国境ピレネーの山麓の村、しかもキリスト教の異端裁判をめぐる歴史ミステリーということで、21世紀の日本に住むぼくらにとっては、一見あまり馴染みのない物語と思われるかもしれない。


    ところが、である。一読したぼくが、「これはすごい!こんなことがあったのか!?」と、一気にのめり込んでしまったのは、ナチスのユダヤ人虐殺を思わせるような、過酷な火刑の場面の圧倒的なリアリティーと、拷問や火刑の苦難をも静かに受け入れ、ローマ教会のまちがった制度を糾弾し、聖書の本質を語るカタリ派聖職者の強く清々しい生き様である。


    クリスチャンの方、特にカトリック信者の方は、これを読んでどう思われるだろうか。たぶん異論があるかもしれない。


    ただぼくらは、十字架や聖水、教会などという「形」に依らずに、シンプルに聖書に書かれていることを実行しようとする人たちがいて、十字軍の名の下に、ローマ教会とその権威を利用したフランス国王によって、徹底的に弾圧された事実を知ることで、宗教や信仰の本質、ひいてはこの世から争いを無くすための寛容の精神についても、あらためて考えることができると思う。「深い楽しみ」を味わえる一冊である。

     

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