URU氏の こころのふいるむ

北越後にある小さな城下町の片隅で、漆器の制作を生業としながら、
心のフイルムに捉えられた季節の情景や、日々の暮らしの雑感を綴っていきます。
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框(かまち)の拭き漆 3



25日に3回目、最後の拭き漆を行った。漆が乾けば完了である。
ぼくとしては、こういう拭き漆は初めての仕事だったので、手順は承知していたものの、どんな仕上がりになるかは、実際にやってみるまでわからなかった。でも思った通りに艶が出たので、正直ほっとしている。

本来の漆器をつくる仕事とはまた別に、古いものを再生する作業は、漆器の修理であれ、陶磁器の金継ぎであれ、おもしろいものだ。

ちなみに、この一連の作業の料金は6万円とさせていただいた。この金額が高いか、安いかは、正直ぼくにはわからない。依頼主が妥当と判断してくだされば、それでいいわけである。

いずれにしても、仕事をさせていただきながら、たくさんのことを学べるのは、お金にはとうてい換算できるものではない。お客様にはもちろん、漆の木にも、そしてこの技術を考え、伝えてくれた先人にも、多大の感謝である。


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紫陽花の蓋物

梅雨前線が停滞し、すっきりしない毎日が続いている。この辺では、雨はそれほど降らないが、とても蒸し暑い。再び豪雨の恐れがあるという九州地方が心配 だ。

季節の花「紫陽花」(あじさい)を蓋物に彫った。色は彫った後で摺り入れたもの。

全体に薄く漆を引き、やわらかな紙で漆を拭き取ると、彫ったところだけに漆が残る。その上から、青や紫などの顔料を綿につけて摺り、余分な粉を拭き取ると、彫り跡だけに色が定着するというわけである。






内部は朱塗り。菓子器や重箱・お弁当の代わりとして、五目ご飯やちらし寿司、ほかにも工夫次第で、いろんな食材を盛り合わせるのも楽しいだろう。

むろん、季節を感じさせる器で食事やティータイムを楽しむ、などということは、贅沢と言えなくもないが、そういう「気持ちのゆとり」を持ち続けることができるなら、「和の心」にも通じ、幸せなことではないかなあ、などと思うのだ。

つくり手のぼくが、ひとりでシミジミしてても始まらないが・・・



  → C280 線刻蓋物のページ

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框(かまち)の拭き漆 2

 
1回目の「拭き漆」から1週間。昨日、2回目の拭き漆作業を行う。

先回引いた漆は、問題なく乾いていた。
きょうはその上から、更に「生漆」(きうるし)を擦り込む。

まずは、練り板上に生漆を出す。今回は何も溶剤を加えない。↓



へらでしごくように、生漆を引いていく。↓



そして、漆が堅くならないうちに、ぼろ布で余分な漆を拭き取る。↓



右半分が今回拭き漆をした部分なのだが、少し色がついたのがわかるかな? ↓



約1時間で作業完了。先回より、更に色が濃くなり、艶も出てきた。↓





これをまた自然に乾かし、さらに1週間後、最後の拭き漆を行う予定だ。
梅雨時なので、漆はよく乾く。(漆は湿度が高い方が乾くのだ)
まさにこの作業には、うってつけの季節である。

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框(かまち)の拭き漆 1

 


市内のある方から、玄関の上がり框(かまち)の「拭き漆」(ふきうるし)を依頼され、きょう最初の作業に行ってきた。

どっしりとした造りのお屋敷で、玄関もゆったりと広い。ケヤキの立派な上がり框があるが、見ると、なるほど色つやが消え、ところどころがシミのように斑になっている。

これを漆で再生するわけだが、「漆をひいては拭き取る」という作業を繰り返すため、この作業をわれわれは「拭き漆」と呼ぶ。(摺り漆と言う人もいるが)




作業の初めとして、まずほかのところが汚れないよう、マスキングテープを貼る。↓



次に、細かい目の耐水ペーパーに当て木をして、全面を水研ぎする。↓



耐水ペーパーをかけると、艶の消えた状態になるが、こびりついていた汚れや油分も落ちて、木の表面が漆を吸い込みやすくなる。↓



そうした上で、生漆(きうるし)をへらでたっぷりと木に吸い込ませ、ぼろ布で余分な漆を拭き取る。この作業は、全部で3回やる予定だが、きょうはその第1回目である。まだ艶は出ないものの、木が漆を吸い取って、しっとりと落ち着いた色合いになった。↓(上の写真と比べてみるとよくわかる)





ここまで、きょうの作業時間は2時間。これを自然乾燥させるため、次回は1週間後である。どんな風に木肌が変化するか、また来週レポートする予定だ。

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彫漆八寸平縁鉢に新種「桜」


ちょっと季節はずれではあるが、彫漆八寸平縁鉢の新しい種類として「桜」を試作した。従来の「いちょう」「梅」と合わせ、3種となる。

今回の「桜」も、「梅」と同じく花の形をシルエットに残し、背景の部分に朱を彫りだしたもの。当初、花の芯を線刻しようかと思ったが、返ってうるさくなりそうなのでやめにした。

が、このままでも、まだうるさいだろうか・・・図案をもっと整理する必要があるのかもしれないが、試作した直後は、自分でもよくわからない。もう少し時間が経ってから、あらためて見直すと、デザインの良し悪しが客観的に捉えられるような気がする。

結婚相手だって、数年経つと、実像がはっきりと見えてくるではないか。
ただしこの場合は、その時点ですでにもう手遅れなのだが・・・。





  → 彫漆八寸平縁鉢のページ
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小鉢と角盆 新しいデザイン


せっかく咲いた桜も、今日は雨に濡れている。雨に濡れて、美しさを増す花もあるが、桜はやはり青空の方がいいようだ。

おまけにこの低温は、どうしたことだろう。暦では、もうすぐ「初夏」だというのに・・・

さて先日、小鉢の図案を少し改良した。
黒塗りには「さくら」(春)、古代朱には「つた」(あき)。2つをセットにすると、「春秋小鉢」となる。日本の四季の美しさを、さりげなく器で味わっていただけたらうれしい。





 →C130 小鉢のページ


もう一つ、堆朱7.5寸角盆に、新しい図案を追加する。

伝統的な「菊」の文様を、ちょっとモダンに散らしたデザイン。 この角盆は、家庭に1つ常備しておくと、お客様の接待用としてはもちろん、金封やお祝いの品などを持参しての挨拶回りなどのときに、手頃な大きさ(22.5センチ角)で使い良いのではないだろうか。



 → 堆朱7.5寸角盆のページ

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さざ波の盛り器

 
先月末頃は一気に気温が上がり、樹々のつぼみもふくらんで、春の近いことを実感できたのに、また真冬に逆戻りのような今日この頃だ。

「三寒四温」とは、この時期よく聞く言葉だが、卒業式や入学試験があちらこちらで行われているこの時期、底冷えのする寒さと、横なぐりの強風、雪は、やはりちょっと鬱陶しい。

早く穏やかな春の海が見たい・・・そんな願いを込めて、こんな盛り器をつくってみた。
いずれも、春陽に輝くさざ波=漣のイメージだ。

角盛器(山吹)
漆角盛器「漣」(山吹)

角盛器(藍)
漆角盛器「漣」(藍)


中央の筋は、錆(水練り砥の粉と生漆を混ぜた下地)を、ギザギザをつけた手づくりのへらで引き、そのまま乾燥させ、研がずに摺り漆だけをして、黒漆の中塗り、中研ぎ、上塗りの工程を進めた。色は、タンポを使い、山になった部分だけにつけてある。

以前も同じようなやり方で一度つくったことがあるが、今回は色のトーンをだいぶ変えてみた。できるだけ楚々として、控えめで、奥行きが感じられるような色面にしたかったのだが・・・やっぱり、つくる人間の「性格」に無理があるのだろうか。それとも、つくる人間の「配偶者」に問題があるのだろうか・・・いずれにしても、困った・・・。

(ウェブサイトのページ → C510 角盛器「漣」

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大寒に「梅」

きょうは「大寒」にもかかわらず、全国的に四月並みの気温で、新潟市などでも「梅」が咲いたとのこと。けれどここ村上では、昨日の暖かさから一転、きょうは小雨で、あまり気温が上がらず、寒い一日だった。

それにしても、大寒とは到底思われない雪の少なさである。上中越の山沿いでは、ところによっては3メートルを超すほどの大雪と報道されているので、他県の方からは、村上も大雪と思われているようなのだが、同じ新潟県でありながら、実態はこんなにも違うのだ。

しかしそれでも、春を待つ心に変わりはなく、どこかで梅が咲き出したと聞くと、おもわず心が弾む。少しでも早く「春」を感じたくて、ぼくも、朱溜(しゅだめ)のボウルに「梅」を彫ってみた。





「朱溜」は、朱漆を塗った上に、何も顔料を入れない溜(ため)漆(半透明である)を塗って仕上げたものだから、表面を剥くように彫ると、下から朱色が現れる。紅い梅を表現するには好都合である。

ただ、図を引きしめるために入れた直線を、鉢の外側の曲面に真っ直ぐ彫るのは、根性の曲がったぼくには、なかなかに難しい。何度か失敗をした。

新しいものは、けっしてひと息にはできない。地道に自分のスキルを上げていくしかないのだろう。

それは、春が三寒四温を繰り返しながらゆっくりと訪れるのに、どこか似ているのかもしれないと思う。



(C122 ボウル「溜」 径16.8 高4.7センチ ¥10,500)
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体験授業

毎年12月に、市内の高校に依頼され、漆絵付けの体験授業をやらせていただいている。今年も7日(月)と9日(水)の2回行った。



去年までは、9センチ角のプレートに絵付けしたのだが、プレートではなかなか高校生が使う機会が少ないから、今年はもっと彼らにとっても身近なモノを、という担当の先生からのご希望があり、携帯電話のストラップなどにつける4センチ角のアクセサリーをつくることにした。



やり方は、プレートの場合と基本的に同じ。

1.図案を描く。
2.型紙を切り抜いてつくる。
3.黒漆を塗られた材料に型紙を当て、色漆をタンポにつけて押す。
4.型紙をはずし、筆で線書きをする。
5,名前、イニシャルなどの銘(サイン)を入れ、乾燥箱(湿したタオルを敷き、中の湿度を高くしてある)に入れて乾かす。



ワイワイ言いながら、楽しそうに作業する彼ら。

漆の独特の匂いやカブレはちょっと嫌だけど、この材料が、今から9,000年前の旧石器時代にも使われていたほど、わたしたち人間の暮らしにとって、なくてはならない重要なもの。耐久性に優れ、何より美しい光沢を持つ塗料であり、接着剤であること。そして、人体にも地球環境にも優しい「エコ」な素材であることを、彼らも体験を通じて、身近に知ってもらえたようだ。



とにかく、ものを創るって、最高に楽しい!

特に、自分で使うものを自分でつくる行為は、二足歩行を始めた人間の原点ではないだろうか。若い人たちには、バーチャルではなく、匂いも触感もある「生」のものに触れる機会を、とりわけ大切にして欲しいと思う。

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やまぶどうの杯


急激に寒くなったかと思ったら、明日からはまた暖かさが戻ってくるとのこと。めまぐるしく気温が変化する今日この頃。身体を順応させるのに苦労する。

今月1日から3日まで、恒例の村上市美術展覧会「市展」が開かれた。あいにく雨がちの3日間であったが、会場は連日、市内の美術愛好家の方々で賑わっていた。

ぼくが出品したのは、去年制作し「芸展」という美術展に発表した「封印された記憶」という漆平面作品と、もうひとつが新作のこれ ↓ である。


            線刻漆杯「やまぶどう」



黒と朱で塗り分けた径21センチの杯に、「やまぶどう」を線刻し、色を摺り入れたものだ。自分の性格に合わせて、控えめに図案をつけたつもりだったが、これでもまだ少し分量が多すぎたかなあ。目立ちたがり屋の本性は隠せないものだ。

さて、15日から始まる今年の「芸展」に出す作品も、きょう、なんとか完成した。その写真は、展覧会が始まってからアップする予定。いよいよ「芸術の秋」も後半戦だ。

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