石州誌4月号「うるしうるわし和の暮らし」(三)

2018.05.27 Sunday 10:47
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    茶道会員誌「石州」に連載中の「うるし うるわし 和の暮らし」。
    4月号と5月号、アップするのを忘れていました。


    まずは4月号。漆の精製と種類について書きました。カラーの写真もアップしておきますので、少し専門的かもしれませんが、漆にご興味がある方は、ご一読下さい。


    ************* 本文全文 **************


    第三話「漆ってどんな色?」 —漆の精製とその種類—


    みなさんは、漆というとどんな色を思い浮かべられますか? お正月のおせちが映える重箱の中の鮮やかな「朱」? 思わず引き込まれそうな夜の闇よりも深い「黒」? それとも豪華絢爛たる蒔絵の「金」でしょうか?


    たしかに漆には、そういう色のイメージが強いと思います。それは朱や黒の漆が、長い歴史の中で伝統的に用いられてきたからであり、また日本では、平安時代以降、漆の代表的な加飾が、漆を塗って金粉を蒔く「蒔絵」だったからでしょう。


    このうち「金」は、金粉や金箔によるものなのでそれは別として、朱や黒の漆は、どうやってつくるのでしょうか。そもそも、先回までお話ししたウルシノキから採取された樹液は、元々はいったいどんな色をしているのでしょう?


    木から採った原液は「荒味うるし」と言い、それをろ過したり遠心分離機にかけたりして、木の皮などのゴミや異物を取り除いたものが、「生漆」(きうるし)と呼ばれるものです。この生漆は、乳白色のとろりとした油のような色をしていて、漆塗りの工程では、下地用、接着用、または仕上げの磨き用などに使います。この白っぽさは、生漆の中に含まれる「水分」から発生する色で、固着力は強いのですが、ここにいきなり「朱」など色の粉を混ぜても、綺麗な色が出ません。


    そこで、中塗りや上塗りに使うためには、この生漆を「精製する」必要があります。精製とは、どんなことをやるのでしょうか。
    それには、「なやし」と「くろめ」と言われる2つの工程があります。


    「なやし」というのは、ゆっくりと生漆を攪拌(かくはん)して、質を均一にすることを言い、「くろめ」とは、適度の温度で暖めながら攪拌し、漆の中に含まれている水分を、時間をかけてゆっくりと蒸発させることです。「くろめる」という動詞としても使いますが、これをすると、漆はきめ細やかになり、透明度を増した飴色に変わります。これを「すぐろめ」と呼び、用途別にいろいろな種類の漆を作るための大元になるのです。


    この漆の精製作業は、今は漆屋さんが機械で行い、用途によって多種類の漆が販売されていますが、昔は塗りの職人が、直接漆掻きから生漆を買い、すべて手でくろめていました。


    よく晴れた真夏の野外で、朝早くから専用の大きな捏ね鉢に大量の生漆をあけ、これも専用の捏ね棒でゆっくりと掻き回していきます。太陽の位置が低いうちは、いわゆる「なやし」の作業となり、陽が昇るにつれて温度が加わり、「くろめ」の工程に移るというわけです。


    こうしておよそ半日以上も練り続けてようやく完了。このきつい作業は、新入りの弟子の仕事だったらしく、そうでなくても真夏の炎天下、肌を露出し、毛穴が開いているなか、漆の匂いを全身に浴びながら行うために、間違いなくかぶれたそうです。新弟子にとっては、漆の洗礼を受けて漆に慣れるための、過酷な「修行」の一つだったのでしょうね。


    さて、こうしてできた「すぐろめ漆」は、いろんな鉱物や油などを入れて、多種類の漆に加工されますが、大きく分けると、朱漆をはじめ様々な顔料を入れて「色漆」(いろうるし)をつくるための「透漆(すきうるし)系」と、鉄分を混ぜて攪拌することによってできる「黒漆系」になります。


    冒頭に、漆の色のイメージとして定着しているのは、「朱」と「黒」と言いましたが、このうち「朱」は、硫化水銀という顔料を入れてつくる「色漆」の一種で、ほかにも二酸化チタンを入れる「白漆」、酸化第二鉄を入れる「弁柄(べんがら)漆」、また硫酸バリウムからなる有機顔料を入れて、黄色や緑、青、紫などさまざまな色の漆を作ることができます。ただ色漆は、永く置くとだんだん乾きが落ち、やがては全く乾かなくなってしまうため、塗り職人が塗る前に自分で調合するか、少量を購入して、短期間に使い切るようにしています。


    一方「黒」は、顔料を入れて黒くするのではなく、すぐろめ漆に鉄分を加えることにより、漆そのものを変化させてつくります。たとえば包丁を研いだときに出る「とぎ汁」や、昔女性の歯を染めるために使った「おはぐろ」などを入れて攪拌するだけで、ふしぎなことに透明な漆は真っ黒に変わるのです。よく美しい黒髪を「カラスの濡れ羽色」などと言いますが、漆の黒が闇を覗くような深みと美しさを持っているのは、顔料を入れて染めたのとは違う、黒漆独自の製法によるものなのでしょう。


    さらに、この透漆や黒漆には、それぞれに油分を加えるものと加えないものがあります。前者は塗ってそのまま仕上げとするものに使い、後者は塗って乾かしてから磨いて仕上げとするものに使います。


    この仕上げ方法の違いによってどんな効果が生まれるのか、なぜ油分を入れたり入れなかったりするのかについては、また回をあらためてお話しすることにしましょう。

     

     

    第73回県展の初日

    2018.05.25 Friday 20:57
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      第73回県展初日、店を臨時休業にして、妻・息子二人とともにさっそく会場へ。


      いつもながら、これだけの数の作品は、全てをじっくり見るということは不可能ですよね。知人の作品と、第一印象で目をひいた作品のみをゆっくりと鑑賞しました。


      工芸部門の県展賞、眞島美代子さんの作品は、やはり文句なく素晴らしい。いくつかのパーツの構成が絶妙で、全体に動きがあり、黒の中の白のアクセントが心憎いほど効いています。


      ぼくの作品は、搬入の直後、担当者から電話があり「台座に傷がありますが・・・」と言われて、ちょっと気になっていたのだけれど、見たところ、傷を発見することはできませんでした。ひとまずほっとしています。作品タイトルは、「ゆらぎ〜生命(いのち)の創成〜」と名づけました。


      県展は、新潟会場が6月3日(日)まで朱鷺メッセにて。その後、上越、佐渡、長岡に巡回されます。

       

       

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      小さな美のポケット 第25話「幸福な第一歩」

      2018.05.02 Wednesday 20:58
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        村上新聞連載エッセイ「小さな美のポケット」第25話が、一昨日の日曜日に掲載となりました。いつもは月初めの日曜なのですが、大型連休のためか、今回はひと足早くの掲載です。


        テーマは「幸福な第一歩」と題して、ぼくが本業の村上木彫り堆朱を始めた20歳のとき・・・原始時代のお話です。(笑)


        新聞は白黒のため、一応カラーの添付写真も載せておきますね。

        初めて、図案、彫り、塗りを自分ひとりで手がけた作品。
        「堆朱」と言っても、朱を使わず、「うるみ」という朱と黒を半々ずつ混ぜ合わせた色漆で仕上げた色紙箱です。


        この記事を読んだ父と妻の反応。
        父「おまえ、こんなの作ったんだっけ? 俺はマッタク覚えてない・・・」
        妻「あなたも昔はこんなの彫れたのね。知らなかった・・・」


        家族にも知られざるぼくの過去・・・思えば遠くまで来たもんだ。(^^ゞ

         

        *************(記事全文)*************

         

        第二十五話「幸福な第一歩」

         

        言うまでもなく「村上木彫り堆朱」は、すべてが手づくりです。木地を作り、図案をつけ、彫刻を施して、全部で十六とも十七とも言われる漆塗りの工程を経て完成します。完成までは、短いもので一ヶ月半、長いものは半年もかかります。この彫り、塗りの一つ一つの技を、完全に身につけるには、長い時間と多くの経験が必要だと言えるでしょう。


        ぼくがこの仕事を始めたのは、東京の美術短大から家に帰省していた夏休み、「どうだ、ちょっとやってみるか」と父に言われ、父がつけてくれた図案を小箱に彫ってみたのが最初でした。


        その頃、父の仕事場には、Aさんという女性の弟子がいました。二十代の頃から、うちに住み込みで弟子に入り、ぼくにとっては、小学生の頃から何かと世話をしてもらった姉のような存在でした。敬虔なクリスチャンで、茶道への造詣も深く、多くの本を読む勉強家で、父も彼女に教えられることが多くあったと言います。


        そのAさんが、ぼくの使う彫刻刀を研いでくれました。村上堆朱で使う彫刻刀は、上から見ると逆Vの字の形をし、左右に刃がついた「裏白」(うらじろ)という名の特別のものです。慣れないぼくは、無理に力を入れすぎて、その刃をすぐ折ってしまうので、彼女はその都度、何度も研ぎ直さなければなりませんでした。


        そんな苦労をかけながら、ぼくはようやく一通りの彫り方を覚え、大学を卒業してからは、塗りの方も少しずつ教えてもらうことになります。


        最初に手がけたのは、角丸(かどまる)の角盆と、足が「く」の地になっている花台でした。初心者には難しい品物ですが、父はあえてごまかしがきかないものを、ぼくのために選んでくれたようです。


        厚く漆を塗りすぎて、「縮み」というシワができたり、力任せに研ぎすぎて、せっかく中塗りまでやったのに、素地の木が表面に出てしまったりと、ひどい失敗をいくつもしました。生漆(きうるし)の桶の中に、木の粉をひっくり返してしまい、Aさんが大量の漆をすべて漉し直すはめにもなりました。


        そうして上塗り以外のほとんど全ての工程を、自分でやることにより、ひとつのものを美しく仕上げる苦労と、先人が工夫した技の数々を、身にしみて学ぶことができたのです。それが、父とAさんに導かれた、ぼくの幸福な第一歩なのでした。

         

         

         

        その頃、弟が撮ったと思われる、こんな写真も見つかりました。たぶん、初めての桐箱の箱書きだったのでしょう。(笑)

         

        祭の文化財指定を祝う屋台巡行

        2018.04.30 Monday 19:39
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          おとといの市制施行10周年の記念式典に続き、きのうは祭の重要無形民俗文化財指定を祝う記念行事、祭屋台の巡行が行われました。


          わが上片町は、午後4時に町内を出発し、市役所へと向かいます。市役所前の駐車場に、16町内の屋台が勢揃い。快晴にも恵まれ、にぎやかな記念イベントとなりました。


          お祭りとはひと味違ったシチュエーションでの屋台巡行。お祭の時はなかなか出ることのできない女性や市外からの参加者も、大勢参加してくれました。屋台を引くロープの長さが足りないくらい・・・。


          もう2ヶ月後に、またいつものお祭が控えています。今年は、「ダブルチャンス」の良い年となりそうです。(^_-)-☆

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

           

          動画もアップします。

           

          上片町屋台が市役所前に到着したところ

           

           

          上片町屋台が市役所を出発したところ

           

          上片町屋台が大町十字路を曲がるところ

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          市制施行10周年記念式典

          2018.04.30 Monday 19:35
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            わが郷土村上は、平野歩夢選手の活躍に続き、市制施行10周年、そしてお祭の国の文化財指定と慶事が続き、ちょっとした高揚気分が漂っています。


            おとといは、市制施行10周年の記念式典が開催されました。


            市制施行された10年前に生まれた小学校4年生、来年学校統合によって閉校になる4つの学校(山北北小、塩野町小、上海府小、三面小)の子どもたちが、未来の夢を語ってくれました。


            最後に、オリンピック2大会銀メダルの平野歩夢さんに、市長から「市民栄誉賞」を授与。おなじみの朴訥(ぼくとつ)としたコメントが、彼の誠実さを物語っていました。

             

             

             

             

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