石州誌の連載開始

2018.01.21 Sunday 13:18
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    石州流茶道の会員誌に、連載を頼まれました。
    今月から1年間、「漆」について書きます。


    茶道と漆とは、茶道具の関係でつながりが深いのですが、ぼくは子どもの頃、うちに住み込みで来ていた職人さんから、お茶のいただき方を教わったくらいで、詳しいことはほとんど知りません。けれど、それでもいいと編集担当の方が言って下さったので、お引き受けしました。


    連載のタイトルは、以前発行していたメールマガジンと同じ。内容は、いつもぼくが体験のときにしゃべっているようなことで、特に目新しくもないのですが、漆の良さを多くの方に知っていただく機会になればいいかな、と思います。


    また一つ仕事を増やしていながら、「もっと時間が欲しい」としょうもないことを、ついついぼやいてしまう愚かな自分です。(^^ゞ

     

    *****************(原稿全文)********************

     

    序章「鮮やかな朱漆と父のひと言」 — 漆との出会いとその魅力 —

     

    神社に張られた「しめ縄」のような、きつく絞られた漉し紙から、じわりとにじみ出てくる真紅の漆。その量がどんどん増え、やがて自重に堪えられなくなったとたん、たまらずに細い糸を引きながら、まっすぐに下の茶碗に滴り落ちていきます。


    漆液の中に入り込んだ細かなチリを取り除くための「漆漉し」の作業。父は、その作業をしながら、まるで独り言を言うような、さりげない口調で、
    「ものをつくる仕事って、おもしろいぞ。」
    とつぶやきました。ぼくが、高校二年生から三年生に進級する直前の、ある日のことです。


    「三年生になったら進路別にクラスが分けられる。それに向けて各自の希望を聞くから、それぞれ自分の進路をしっかり決めてくるように。」という先生からの指示を受け、ぼくは毎晩思い悩んでいました。


    うちは祖父の代から、漆器の製造販売を生業としています。けれど祖父もそうだったようですが、父も自分の息子に対して、ひと言も「家業を継げ」とは言いませんでした。「お前の進む道は、お前自身で考えて決めたらいい。」と。


    それまでのぼくは、家業などより歴史や原子物理学のようなものに興味があって、「将来、ノーベル賞をとれるような科学者になれたらなあ・・・」などと、ぼんやり夢のようなことを考えていました。でもそれは、単なる学問的な興味であって、現実的に自分の職業としては、ほとんど何も考えていなかったことに気がついたのです。


    それではどうするか・・・。思い悩みつつ、父の仕事部屋に入り、何気なくその作業を見ていたら、父がぽつりとつぶやいたひと言が、先の言葉でした。
    「ものをつくる仕事って、おもしろい」
    そのさりげない言葉は、滴り落ちる真っ赤な漆の鮮明な映像とともに、ぼくの胸に棘のように突き刺さり、抜けなくなりました。そしてその夜、今までは思ってもみなかった方向で、自分の将来のことをもう一度考え直してみたのです。


    翌朝ぼくは、台所に立っていた母に、
    「やっぱり美術大学に行こうと思うんだけど・・・」と、考えた末の結論を話しました。父や母が、ことのほか驚いたことは言うまでもありません。けれどこれが、自分の人生の方向が定まった一瞬なのでした。


    もちろん自分でそう決めたからといって、すぐに美大には入れるわけではないし、ものづくりの仕事が簡単にできるものでもありません。それ以後も、この仕事に就くまでは、いろいろ紆余曲折がありました。
    漆工科がある大学は極端に少ないため、ぼくは運良く入れた武蔵野美術短期大学の工芸デザイン科で、二年間、陶芸を専攻。その後、村上市の家に帰り、父に就いて、村上市の地場産業である「村上木彫堆朱」(むらかみきぼりついしゅ)を一から学ぶことになりました。そして一年後、父の奨めもあって、その技術を基本として自分独自の作品をつくり、県展や現代工芸展などに出品するようになったのです。


    数多くの失敗をし、自分自身の未熟さに苛立ちつつ、この道の奥深さを実感する日々。 父に手を引かれながら、ヨチヨチ歩きの最初の一歩を踏み出してから四十年経った今になってようやく、漆の仕事のほんとうのおもしろさがわかり、漆というものの魅力を感じることができるようになった気がします。


    とは言え、まだまだ漆については、ぼく自身わからないことだらけで、しかも「茶道」に関してはずぶの素人、茶道具のことも不勉強でほとんど知りません。ですので、この専門誌に漆に関する連載を寄稿してほしいとのご依頼をいただいた時には、はたしてみなさんに興味を持っていただけるような文章がぼくに書けるだろうか、とはなはだ不安でした。


    けれど、そんなぼくが四十年つきあってきた漆という素材は、じつに不思議な力や性質をもち、その堅牢さや独特の美しさなど、他の追随を許さないほどに優れています。しかも、古い英語で「JAPAN」は漆を指すほど、日本の漆器は、西洋人にとっても憧れの的でした。まさに日本文化を代表するもののひとつと言っていい漆について、ぜひとも多くのみなさんにその魅力をお伝えしたい。そんな思いをもつぼくが、こんな絶好の機会を得られたことは、ほんとうに嬉しくありがたいことではないか、と思い直し、謹んでお引き受けすることにしたのです。


    漆の木や液について、漆を塗る道具や技法について、色やさまざまな産地の違いについて、漆かぶれや漆器の取り扱いについて、漆器の修理、また陶器の欠けや割れを漆と金で直す「金継ぎ」というものについてなどなど、お話ししたいことはいろいろあります。できるだけ具体的に、わかりやすく書いていくつもりですが、拙い文章やもしかすると誤りなどもあるかもしれません。お気づきの点がありましたら、どうかご教示いただきたいと存じます。一年間、どうぞよろしくお願い致します。

     

     

     

     

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    アートギャラリー万代島開廊10周年記念展オープン

    2018.01.07 Sunday 13:36
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      ぼくが去年7月、初めての個展でお世話になった「アートギャラリー万代島」が、今年開廊10周年を迎えるということで、その記念展が昨日から開催されています。


      これまでここで個展を開いた大勢の作家に呼びかけて、「10」というテーマで作品をつくってもらい、それを4期に分けて展示するという企画展です。


      昨日、その図録も送られてきました。それぞれの作家が「10」というテーマをどう捉えて作品をつくったのか、興味津々で見てみると・・・なるほど、みなさん苦労したんだね。(笑)


      どう見ても「こじつけ」としか思えないものもあって、おもわず苦笑させられますが、でも新潟ではそうそうたる顔ぶれの、111人の作家それぞれの個性がうかがわれて、とても興味深いです。(作品の写真はここには出しませんので、ぜひ足を運んで、現物をご覧下さい)


      ちなみにぼくの作品は、第2期1月23日(火)〜2月4日(日)に展示されます。

       

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      今年の「おせち」

      2018.01.01 Monday 20:57
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        毎年同じような写真で恐縮ですが、ことしも妻の作った12品の「おせち」が、新年はじめの食卓に並びました。


        いつものように、「きんかん、ごまめ、煮なます、八幡巻き、クワイ、海老のマリネ、黒豆、リンゴきんとん、数の子、昆布巻き、つくね、高野豆腐」です。このほかに、蒲鉾、伊達巻きも・・・。どれもみな、とっても美味にできました。


        年末に、この地方の伝統料理である飯鮨(いいずし)を漬け、おせちを作り、煮染めやなますなど、お年夜のご馳走や年越しそばの支度を整える・・・ぼくの奥さんは、台所の超能力者でしょうか・・・。f(^ー^;

         

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        2018年が始まりました

        2018.01.01 Monday 20:54
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          2018年の幕開け。
          あけましておめでとうございます。


          今年は、今まで以上に、みなさんのお心の琴線に触れるような製品・作品をできるだけ多く創作し、またネットでの情報の発信を強化していこうと思っています。


          今年もどうぞよろしくお願い致します。
           

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          「四段姫重」をつくりました

          2017.12.29 Friday 21:03
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            いつものんびりマイペースで仕事をしているぼくですが、やはり年末となると、何だか気ぜわしいですね。


            今年の最後に、こんなものができてしまいました。(^^ゞ


            約12センチ角の小さな重箱。「四段姫重」(よんだんひめじゅう)と名づけました。上二段は高さがそれぞれ2.5センチ、下二段が3センチずつです。


            蓋には「松竹梅」。側面には「四君子」と言われる「梅」「竹」「菊」「蘭」を、それぞれ色漆で表現しました。


            うちは6人家族だから、とてもこんな重箱では収まらないけれど、ご夫婦二人だけのお正月なら、こんなミニ重箱におせちを盛るのもいいのではないかしら・・・そんなことを考えながら、つくりました。


            今年もあと2日。250枚の年賀状を2週間かけて書き終え、家の大掃除もおおかた済んだところ。ただ明日は、今年最後の体験のお客さまが、二人来られます。


            みなさん、今年もお世話になりました。
            どうぞ、お身体に気をつけて、良いお年をお迎えくださいね。(^_-)-☆

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