
いつまでも雪と寒さに悩まされた新潟でも、ようやく暖かな日が続くようになった。新潟市の桜はもう散りはじめているが、ここ村上では、これからが本番というところ。
そんな季節に合わせたような工芸展が、新潟市の新潟美術学園ギャラリーの主催で開かれ、ぼくも長谷川朝子園長先生のお誘いで、初めて出品することができた。
いろいろな工芸素材、さまざまな年代層の作家たちが集まった、ちょっとユニークな工芸展だ。どんな雰囲気の会場になるか、皆目見当がつかなかったため、ぼくもどんな作品を出そうか迷ったが、とりあえず新作の平面と、器もの2点を出品。
最終日の「作家と語る会」では、今まで面識のなかった方たちとも交流が持て、造形的な刺激を受けることができた。
50センチ以内という制限があったので、F6号の平面作品を今回の主作品とした。
「繋がるいのち」というタイトルの彫漆作品だ。朱・白・緑・黒の順に漆を塗り重ねておいて、その表面を剥くように彫ったもの。村上に以前からある技法のひとつだが、こういうやり方で展覧会作品をつくったのは、今回が初めてである。
大震災後、いやがおうにも考えるようになった、自然や宇宙の中での「いのちのつながり」というものを、「輪廻」をも意識しながら、自分なりに表現してみたいと思った。
下地漆で凹凸をつくり、色漆をタンポでつけた角盛器「漣」。浜辺に打ち寄せる「春のさざ波」のイメージだ。
平縁の部分だけに朱漆を塗り重ね、その上を黒漆の磨きで仕上げたうえに、シルエットとして桜の花を残すように、地の部分を彫った彫漆八寸平縁鉢「桜」。
最近、試みている陶胎漆器(陶器を素地として漆を塗ったもの)を見たかった、と言ってくださった方もおられたようで、その方には期待に添えず申し訳なかったが、次回はそんな実験作も出してみたい。
来場して下さった方には、ほんとうに感謝。ありがとうございました。