URU氏の こころのふいるむ

北越後にある小さな城下町の片隅で、漆器の制作を生業としながら、
心のフイルムに捉えられた季節の情景や、日々の暮らしの雑感を綴っていきます。
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はしおきの製作〜これでようやく完成!


前回の花塗りから、かなりの時間が経ってしまった。はしおきの製作は、これが最後の仕上げ作業である。



まずは色が入る部分だけ、砥石を当てて研ぎ、筆で色漆を塗る。


そしてそのあと色を替え、蒔絵筆(まきえふで)を使って線書き。専用の蒔絵筆は、ネズミの背中の毛でできていて、穂先がとても長く、まっすぐな長い線を、途切れることなく一気に引くことができるのだ。

これを乾かして、ようやく完成!




1個 1,260円。

たとえ小さな「はし置き」でも、それなりの時間と手間をかけてつくられていることを知ってもらえば、この価格でもまんざら高くはないことを、納得していただけるのではないだろうか・・・。


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最近の読書から〜浅田次郎「蒼穹の昴」上・下巻


前から読みたかった本。やはり浅田次郎はすごい!
壮大な歴史ドラマの映像が、目の前に広がる。

日本も含め、大国のエゴイズムが渦巻く清末の中国を舞台に、貧しい田舎の少年が、不思議な運命に翻弄されながら、やがて歴史を動かす権力者へと近づいていく物語だ。

上下2巻だが、引き込まれるように読み進められるので、さほど長さを感じない。

特にぼくは「上巻」が面白かった。厳しい官吏登用試験「科挙」の様子、けなげな妹との涙の別離、そして悪名高い西太后の別の顔・・・ちょっと中国の人名が覚えられず戸惑うところもあるが、人物の描写に厚みがあり、生き生きしている。

居ながらにして、時空をはるかに超えることができるなんて・・・いやあ、読書ってほんとに楽しいな!

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連休中のはし塗り体験


大型連休も後半。ここ村上でも、昨夜から本降りとなった。
いつものことながら、連休といっても普段と変わりのないぼくの生活。特別の予定はない。

一昨日の2日には、新潟市から寄居中学校の2年生30人あまりが、漆のはし塗り体験に訪れた。もう10年以上前からこの時期に体験学習に来ている学校で、いくつかのコースに分かれて村上を回るようだ。

うちでは、午前14名、午後15名を受け入れ。
店の2階のギャラリーで、それぞれ好きな色の漆を自分で混ぜ合わせて、はしに塗っていく。マスキングテープを自由に巻くことで、デザインもオリジナルのものができるため、慣れない漆の扱いに四苦八苦しながら、真剣そのもの。

 ↑「塗り風呂」の中で、漆の乾燥を待つ「作品」。

昨日の3日は、広島県尾道市やニュージーランドからの男女お二人連れ、また東京からのイケメン男性3人組の方々も、それぞれプレートの絵付け、はし塗りの体験に来てくださった。明日は、小学3年と1年生の予約も入っており、まさに「体験三昧」の連休。

混雑する中にわざわざ出かけなくても、いろんな方との出会いが楽しめる・・・休みはないけど、この商売もまんざら捨てたもんじゃない。

 ↑こんな楽しい作品との出会いもある。昨日の絵付け体験の「成果」。


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最近の読書から〜沼田まほかる「九月が永遠に続けば」

 

本の感想を書くのは、しばらくぶり。
ぼくは、何か一冊あれば何時間でも退屈しないほど本好きだから、まったく読んでいなかったわけではないが、なかなか「これ」と言ったものに出会わなかったのだ。

この本の作家、沼田まほかるさん・・・なんだか変わった名前。でもこの人はすごく文章がうまい! いっぺんで気に入った。

妻が前から読んでいて、名前は知っていたのだけれどね。読むのはこの本が初めて。ちなみにこの本は、2004年の「ホラー・サスペンス大賞」を受賞している。

と言っても、怖い話ではない。むしろ気持ち悪くなるくらい複雑で異常な人間関係が描き出されるので、この本の評価は人によって真っ二つに分かれるだろう。生理的にまったく受けつけない人も多いかもしれない。ぼくはとても面白かったけど・・・。

「わたし」は、「水沢佐知子」という名の41歳の女性。バツイチで、高校生の息子がいるが、20歳代の男と関係を持ってしまっている。ところがある日、その息子がサンダル履きでゴミ出しに出たまま、忽然と失踪してしまったのだ。

必死で息子の行方を探す佐知子。その一方、若い恋人の方は、混雑する駅のホームから転落し、電車に轢かれて死んでしまう。はたしてこの2つの事件(事故?)に関連性はあるのか・・・?

知られざる息子の交友関係が明らかになる中、別れた精神科医の夫雄一郎と、現在の妻亜佐美、そしてその娘冬子を巡る過去のいきさつが、次第に明らかになっていく・・・。

謎解きの興味に惹かれて読み進むうち、ドロドロと歪んだ人間関係ではあるものの、その底に秘められた心の深い闇、そして人が人を思う純粋さがあぶり出されてくる、そんな小説なのだ。

だが、ぼくはどちらかというと、小説の筋そのものより、スゴ腕の作者の文章力に魅了された。まほかるさん・・・この先も、忘れられない名前になりそうな予感。


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第2回現在(いま)に生きる 工芸の春展


いつまでも雪と寒さに悩まされた新潟でも、ようやく暖かな日が続くようになった。新潟市の桜はもう散りはじめているが、ここ村上では、これからが本番というところ。

そんな季節に合わせたような工芸展が、新潟市の新潟美術学園ギャラリーの主催で開かれ、ぼくも長谷川朝子園長先生のお誘いで、初めて出品することができた。

いろいろな工芸素材、さまざまな年代層の作家たちが集まった、ちょっとユニークな工芸展だ。どんな雰囲気の会場になるか、皆目見当がつかなかったため、ぼくもどんな作品を出そうか迷ったが、とりあえず新作の平面と、器もの2点を出品。

最終日の「作家と語る会」では、今まで面識のなかった方たちとも交流が持て、造形的な刺激を受けることができた。


50センチ以内という制限があったので、F6号の平面作品を今回の主作品とした。

「繋がるいのち」というタイトルの彫漆作品だ。朱・白・緑・黒の順に漆を塗り重ねておいて、その表面を剥くように彫ったもの。村上に以前からある技法のひとつだが、こういうやり方で展覧会作品をつくったのは、今回が初めてである。

大震災後、いやがおうにも考えるようになった、自然や宇宙の中での「いのちのつながり」というものを、「輪廻」をも意識しながら、自分なりに表現してみたいと思った。


下地漆で凹凸をつくり、色漆をタンポでつけた角盛器「漣」。浜辺に打ち寄せる「春のさざ波」のイメージだ。


平縁の部分だけに朱漆を塗り重ね、その上を黒漆の磨きで仕上げたうえに、シルエットとして桜の花を残すように、地の部分を彫った彫漆八寸平縁鉢「桜」。

最近、試みている陶胎漆器(陶器を素地として漆を塗ったもの)を見たかった、と言ってくださった方もおられたようで、その方には期待に添えず申し訳なかったが、次回はそんな実験作も出してみたい。

来場して下さった方には、ほんとうに感謝。ありがとうございました。

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