小さな美のポケット 第21話「作品の発想」

2017.12.03 Sunday 16:13
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    師走最初の日曜日。村上新聞連載エッセイ「小さな美のポケット」の第21話が掲載されました。タイトルは「作品の発想」です。


    ぼくの師匠である佐渡の高橋信一先生は、「作品づくりで一番大事なのが『発想』。作品の良し悪しは『発想』で決まる。」と常々言っておられました。


    何を描くか、どういうふうに表現するか。それは、制作する者にとって、一番頭を悩ませることでもあります。また、作品を鑑賞する人にとっても、一番知りたいことではないでしょうか。


    そんなことを、ぼくが大好きな「須田寿(すだひさし)さん」の絵を紹介して、ちょっとだけ書いてみました。記事はモノクロのため、カラーの画像をいっしょにアップしておきますね。

     

    ************(原稿全文)***************

     

    第二十一話「作品の発想」

     

    ぼくが今まで発表した平面作品の多くは、何を描いたのかよくわからない、抽象的なものでした。展覧会場で一般の人から、「いったい何を表現したのですか」「どこからこの発想が生まれたのでしょう?」と聞かれることが頻繁にあります。


    「花」とか「鳥」とか、何となくでも、描いたものがわかると安心するようなのですが、ぼくの作品のように、花とも鳥とも見えぬものは、それを見る人にとっては、どうも居心地が悪く、落ち着かない気分になるようです。


    作品の発想は、その人それぞれです。何か具体的なものをスケッチして、そこから作品を紡ぎ出す人もいれば、ぱっとひらめくインスピレーションによって制作する人もいるでしょう。また、何枚も下絵を描き直して、ひとつの作品を作り上げるタイプの人や、いっさい下絵を描かずにいきなり生の素材と向き合う人など、千差万別です。


    ぼくの場合は、事前に、「こんな感じにしたい」という、色とか形とかを総合したひとつのイメージがあって、それに従って簡単に下絵を描くことがほとんどです。あとは、素材が漆ですから、タンポで叩いたり、彫ったり、研ぎ出したりという作業を通して、自然に現れてくる効果を生かすようにしています。何か具体的なものを表現するよりも、漆という素材を用いて、独特の雰囲気を持った、ひとつの世界をつくりたいという思いが強いのかもしれません。


    ぼくは、須田寿(ひさし)さんという油彩画家の絵が、ことのほか好きです。画面に描いたというより、画面の奥深くから浮かび上がってくるような須田さんの風景を見ていると、そのシンプルな構成や、暖かな色彩、豊かなマチエールにうっとりと陶酔してしまいます。そして「絵」というものは、見えるものを描くのではなく、見えるものを通して、「見えない世界」を描くものなのではないだろうか、と思えてくるのです。


    ちょうど、いろいろな音を組み合わせて美しい旋律をつくる音楽のように、点や線、形、色、肌合いなどを通して、心の印画紙に焼き付けられるような、奥深く美しい空間を創造したい。じっと見ていると、何かほんのりと温かなものが心の中に芽生えてくる、そんな豊かなイメージの世界をつくりたい。ぼくはそう願いながら、いつも未熟な頭を悩ませているのです。

     

     

     

     

     

    ヴァイオリン・リサイタルの鑑賞

    2017.12.02 Saturday 21:01
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      「もしもこの人に出会わなければ、今の自分はない」と思えるような恩人が、ぼくにはありがたいことにたくさんいます。


      そのうちのひとり、新潟大学でも教えていらした彫刻家の関口昌孝先生。この人にデッサンを習わなければ、ぼくは美術大学に入ることはできなかったと思います。


      残念ながら先生は、数十年も前にもう故人になられたのですが、先生のお嬢さんが、ヴァイオリニストとして、国内外でご活躍中です。


      昨日は、その関口智子さんにご案内をいただいて、新潟市の市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」で行われたヴァイオリン・リサイタルに行ってきました。去年に続き2回目です。


      前半は、エルガー、マキュアン、スタンフォード、サン=サーンス、シューベルトのあまり知られていない楽曲を中心に。


      そして後半は、幸田延(こうだのぶ)という、明治・大正の、女性が音楽家として生きていくことがきわめて困難な時代に、日本人による初のクラシック作品を作曲したり、山田耕筰、滝廉太郎、三浦環などという優れた音楽家を育てたりした素晴らしい女性を紹介し、彼女が25歳と27歳の時に作曲した2つの素晴らしいヴァイオリン・ソナタを演奏して下さいました。ちなみに、延の兄は、今年生誕150周年を迎えるという作家の幸田露伴です。


      この頃は、音楽をじっくり聴くなどということがほとんどないぼくですが、ヨーロッパ各地でご活躍中という才能あるピアニスト、安達朋博さんの弾く力強いピアノと、智子さんのたゆたうように豊かなヴァイオリンの音色がぴったりと調和し、しばし日常を忘れ、恍惚とした世界に浸ることができました。


      優れた音楽は、自分を無にし、ただ受け入れるだけで、自分を包み込み、別世界に連れて行ってくれるような、優しさや奥深さがありますね。こちらの感性に直に働きかけて、知らず知らずのうちに、自分の感情が動かされてしまうダイナミズムを実感しました。(*^_^*)

       

       

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      漆を体感するワークショップ

      2017.11.27 Monday 21:02
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        昨日の日曜の午後、新潟市美術館の実習室で、「漆を体感するワークショップ」というイベントに参加させてもらいました。


        「いつも仕事で、漆をイヤと言うほど体感してるじゃないか」と言われそうですね。それはそうなのですが、今回は、新潟仏壇組合の方たちが、蒔絵と箔押しを体験させてくださるというので、申し込んでみました。蒔絵と箔押しに関しては、ぼくは専門外なので・・・。(^^ゞ


        ほかにもお子さん連れなど、何人もの参加者がおられ、会場はとてもほのぼのした温かさに包まれていました。


        羽賀良介さん、富美子さんのご夫妻をはじめ、仏壇組合の方たちが、道具や材料を調え、とても丁寧に指導してくださり、なんとか1枚のプレートを仕上げることができました。人工漆なので、すぐに持って帰れるのも嬉しい。


        材料のこと、技術的なことはもちろんですが、ワークショップの進め方なども、とても参考になり、いい勉強ができたなあ、と思います。


        ふだん教える立場の人が、時には教えられる側に立つことも、もしかすると大事かもしれませんね。(^_-)-☆

         

         

         

         

         

         

         

         

         

         

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        芸展授賞式と伝統工芸作家展

        2017.11.27 Monday 19:59
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          師走も間近。今年の展覧会シーズンも、そろそろ終盤です。


          おとといの土曜、東映ホテルにて「芸展」の授賞式に出席し、工芸部門の副理事長として、奨励賞のプレゼンターを務めました。やっぱり「賞」は、あげるよりも、もらう方がいいなあ・・・(笑)


          写真は、陶芸の柏繁行さんが、県立近代美術館賞の授与を受けられるところ。安定した技術とデザイン力が、受賞作品に生かされていました。


          授賞式のあとは懇親会。書道の方たちの二次会に交ぜてもらって、その夜は新潟市のホテル宿泊です。


          明けて日曜の午前。雪梁舎美術館で開かれている「新潟県伝統工芸作家展」を鑑賞しました。


          日曜の朝のひっそりした会場は、文字通り、ひとつひとつの作品と1対1の対話をするにはうってつけです。


          伝統の技が、現代的なデザインの中に反映される美しさ。特に受賞された作品にその「美」を感じました。


          この展覧会は、12月24日のクリスマス・イブまで。月曜休館です。(*^_^*)

           

           

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          市展の反省・慰労会と芸展の開場式

          2017.11.11 Saturday 20:39
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            昨夜は、村上駅前の石田屋旅館さんで、「市展」の反省・慰労会。そして今朝は、暴風吹き荒れる中、車で新潟市の県民会館へ。「芸展」の開場式、レセプションに出席しました。明日は、パルパークにて「郡市PTA協議会研究大会」に教育委員として出席の予定です。これで、ようやく少し落ち着けるかな。

             

             

             

             


            今年の芸展の工芸会場は、ほど良い具合に作品を並べられました。ぼくが今回出品した作品は、F12号の平面の新作。タイトルは「スケッチブック」です。

             


            アップした写真のうち、書の作品2つは、父の書道教室の生徒さんのうち、佐藤富喜子さんと義妹 大滝寿美子の入選作。9名が入選し、2名が涙を飲みました。前期展、日本画、工芸、書道は、17日(金)まで。

             

             


            新潟市からの帰りにもう1つ、西堀のイタリア軒のギャラリーにて、新潟県工芸会の方たちの「手のひらの宇宙展」を見ました。コンパクトなサイズのオブジェや平面も、親しみやすく、なかなか秀逸です。(*^_^*)

             

             

             

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